速いクルマに憧れた世代にとって、GT-Rが終わるというのは悲しい話であります。時代の流れと言えばそれまでですが、自動運転や電気自動車など自動車そのものが大きく変わろうとしているなか、GT-Rを含め速いクルマがある時代にクルマを運転できることは幸せだなと感じました。孫が免許を取ったら、「じいじはかつてGT-Rを全開にしたことがあるぞい」と自慢します。
◆GT-Rだけじゃない! ハイパワースポーツカーが絶滅危機にある理由
今も都内のどこかで静かに暮らしておられるであろうゴーンさんが号令を発し、12年前に誕生した日産GT-R。発表当初は熱狂をもたらしたものの、その後12年間フルモデルチェンジをしてもらえず、徐々に空気のような存在になっておりました。
ところが、最新の2020年モデルに乗ってぶったまげた。GT-Rは、とてつもなくいいクルマになっていたのだ! これは絶対乗っといたほうがいい!
担当Kは「いまさらGT-Rですかあ?」と乗り気じゃなかったが、『マッハGoGoGo』みたいなカラーリングを施された、50周年記念モデル(広報車)を借りてきてくれた。
永福:どうだった?
担当K:やっぱGT-Rはラクですね~。前を走ってるクルマが勝手にどいてくれるし、アオってくるクルマもないし。このカラーリングも子供に好評でした。
永福:そういうことじゃないよ! 最新のGT-Rは乗り心地がメチャメチャいいでしょ?
担当K:コンフォートモードにすると、かなりいいですね。
永福:いやあ、メチャメチャよくなってるよ! なにせ最初は戦車みたいにガチガチだったんだから! タービンのレスポンスも猛烈によくなって、アクセルを軽く踏んだだけで超気持ちよく加速するでしょ?
担当K:そうかなあ……。GT-Rはもともと猛烈に速かったので、よくわかりません。
とにかく日産GT-Rは、モンスターとしてこの世に生を受けて12年。ついに成熟したオトナになったのです! これならデートにも使えまちゅ。まあ、オッサンなのでデートはしませんけど。
ところがこのGT-R、オトナになったとたん、その寿命が尽きる運命にあるという。’22年中には生産終了になり、後継モデルの姿も見えない。いったいナゼ? もしかして燃費が悪いから?
燃費の問題もあるにはあるが、もっとキツいのは騒音規制なのでした。実は、我々がよく知らないうちに、「国際連合欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム」という見たことも聞いたこともない団体が、新しい自動車騒音規制値を決めていた。
日本はそのメンバーじゃないけれど、「国際基準にならって」ということで導入を決定。来年からは、そのフェーズ2に突入し、’22年以降はさらに厳しいフェーズ3に。ぶっといスポーツタイヤを履いてるだけで、転がり騒音で基準をクリアできなくなる可能性すらあるという!
つまり、GT-Rに限らず、全世界のハイパワースポーツカーが全滅するかもしれないのです!
フェラーリは、近い将来すべてのモデルをハイブリッド化する方針だが、理由は燃費より騒音だったんですね。あのカラヤンが愛し、名付けたという“フェラーリ・サウンド”すら、騒音ということで社会から排除されてしまう……。
担当K:つまり、こういうのを楽しめるのも今のうちってことですね?
永福:そうらしいよ!
最後にひと花咲かせるべく、GT-Rとフェラーリ488ピスタで加速対決をやってみました。GT-Rは570馬力、488ピスタは720馬力。さすがに720馬力の伸びは地獄のように凄まじく、スタートで前に出たGT-Rをズコーンとブチ抜いてくれました。どっちも速すぎる……。こんな狂気のパワー競争、いつまでも続くもんじゃなかろうとは思っていたが、まさか騒音規制で終了になるとは!
GT-Rは消える。フェラーリはプラグインハイブリッドで生き残る(たぶん)。心配なのはランボルギーニだ。どうすんだろう……。
担当K:誰も心配してませんよ、そんなこと!
永福:まあね。アヴェンタドールは消えてもカウンタックは消えないし。
ということで、スーパーカーは今後ますます希少品となり、高騰するでしょう。GT-Rも、たぶん。
【結論!】
気づいたときはもう、終わりが近づいていたんですね。最後にひと花咲かせてくれたGT-Rよ、ありがとう! 最後のGT-R NISMO 2020年モデルは定価2420万円! でも値上がり確実! まさに最後の祭りです。
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Source: 車速報
GT-Rなど全世界のハイパワースポーツカーが絶滅危機 理由は騒音規制