1兆円規模の金融支援を検討していることがダイヤモンド編集部の取材で分かった。
電気自動車(EV)の基幹デバイスとなる車載電池では、中国CATL(寧徳時代新能源科技)を筆頭に中韓勢による激しい投資競争が繰り広げられている。
経産省内部には、かつて投資競争と戦略で敗北した半導体の「二の舞」を回避すべきとの意見が根強い。
今回の政府の金融支援により、グローバル競争で遅れをとる日の丸電池の再起を図る構えだ。
特集『脱炭素の衝撃 3000兆円の衝撃』(全12回)の#1では、乾坤一擲の賭けともいえる巨額投資の成否を問う。(ダイヤモンド編集部 浅島亮子、新井美江子)
■米中欧の電池・EV覇権争いの勃発で「工場建設費用100%補助」へ急展開
昨秋、経済産業省の職員が複数の電池部材メーカーの元を訪れていた。
世界的な脱炭素の流れを受けて、ガソリン車から電気自動車(EV)へのシフトは不可避となった。
だが近年、EVのキーデバイスとなる車載電池分野では、日本勢が投資意欲で中韓に遅れをとる局面が目立っている。
そこで経産省は、車載電池のサプライチェーンに属する企業がどのような支援を求めているのか、ヒアリング調査を実施していたのだ。
その席で、経産省職員は電池部材メーカー幹部から厳しい叱責を受けたという。
「われわれは、資本市場で巨額資金を集めるテスラを擁する米国、国家資本主義で補助金が潤沢な中国、
EU(欧州連合)の独自規制で電池技術を囲い込もうとしている欧州と戦っているんですよ。
研究開発費の一部を補助する?そんな弥縫策で勝てるわけがない。
国家の産業として電池や自動車を残そうというお考えならば、工場建設費用に100%の補助金を出すくらいの覚悟でいらしてください」
研究開発費の一部支援というオプションを提案した経産省に対して、電池部材メーカーからは、さらに踏み込んだ金融支援が急務という声が上がったのだ。
そんな場面が繰り広げられてから数カ月後。
経産省が、車載向けリチウムイオン電池に1兆円規模の金融支援をする方向で検討に入ったことが分かった。
まさしく、その使い道は、車載電池工場の“立地コスト(設備投資)”を全面的に支援するというものだ。
電池部材メーカーの悲痛な叫びが受けいれられる形で、巨額の税金が車載電池に投下されることになりそうなのだ。
https://diamond.jp/articles/-/269766
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Source: 車ちゃんねる
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