
今年のCESでは、これまでクリーンエネルギー分野では存在感の薄かった水素燃料モデルの展示も増え、貨物トラックやバス、ドローン、都市などのエネルギー源として注目を集めている。
トヨタは、水素燃料電池車「Mirai」を過去5年間に渡って一部の市場で展開してきた。同社は、数十年もの研究開発の成果を活かし、水素燃料発電を主なエネルギー源とする未来都市「ウーブン・シティ(Woven City)」を富士山麓に来年建設すると発表した。
ウーブン・シティは閉鎖予定の工場跡地を再利用し、クリーン・テックやモビリティ、AI技術、次世代建築物などの実証実験を行い、約2000人の住人が生活するという。
「ゼロからコミュニティや都市を作り上げ、コネクテッド、デジタル、サステナブルな未来のインフラをトヨタの水素・燃料電池技術を活用して構築するのは非常にユニークな機会だ」とトヨタの社長で、同社創業者の孫にあたる豊田章男はCESで語った。
約71万平方メートルの敷地を持つウーブン・シティでは、定置用燃料電池システムのほか、建物の屋根に設置された太陽光発電パネルで発電するという。
ダイムラーも1990年代から燃料電池車の商用化に取り組んでおり、スポーツ・ユーティリティ「F-Cell」をいくつかの市場で提供している。同社でR&D部門の責任者を務めるマーカス・シェーファーによると、今後は大型トラックやバスに注力していくという。
ダイムラーは燃料電池トラック量産化へ
「長距離輸送トラックを現在のEVバッテリーで駆動させるのは困難だ。我々は、燃料電池を使ったバスやトラックを開発する」とシェーファーはCESで述べた。
ダイムラーは昨年末、2020年代後半までに燃料電池で走行するトラックの量産化を実現すると発表した。トヨタは、過去数年に渡ってロサンゼルスで燃料電池を搭載した大型トラックの実証実験を行っており、現代自動車やニコラ・モーターも無公害トラックの商用化を目指している。
燃料電池の可能性
燃料電池とEVはどちらも電力で駆動し、モーターをはじめ多くの部品が同じだ。違いは、EVが電気を蓄電池に蓄えるのに対し、燃料電池は水素と酸素の化学反応から発電することだ。燃料電池は、車やトラック以外に長年NASAが使用してきたほか、定置式の発電機や電車、船舶、フェリーなどに用いられてきた。
「燃料電池は非常に優れているが、コストを下げるにはボリュームが必要だ。我々は、傘下にフレイトライナーやメルセデスのトラック部門、アジアのブランドを持つ世界最大のトラックメーカーであり、世界で大きなシェアを保有している」とシェーファーは述べた。
ダイムラーは、モジュールシステムによって同じ燃料電池を使い、車両のサイズや走行距離に応じて搭載量を増減させることを目指しているという。「今後2~3年以内に商用のバスやトラックをリリースできるだろう」とシェーファーは語った。
燃料電池を搭載するのは、大型車両ばかりではない。建設機器やロボティクス、脱塩技術を手掛ける韓国の「Doosan Mobility Innovation」は、燃料電池を搭載し、長時間飛行を実現したドローンを開発してCESの「イノベーション・アワード」を受賞した。
Doosan Mobility Innovationの「DS30」は、独自開発した小型で軽量な燃料電池を搭載し、1回当たり最大2時間飛行することができ、バッテリーモデルの3倍のエネルギー密度を持つという。
1/19(日) 7:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200119-00031758-forbes-bus_all
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Source: 車速報
トヨタやダイムラーも注力する「燃料電池」の巨大な可能性