バンコク国際モーターショーが行われた、バンコク郊外からバンコク市中心部へ移動するとき、バンコク市内に入ると見慣れない藍色のきれいな路線バスを多く見かけるようになった。そして、よく見るとそれはBEV(バッテリー電気自動車)路線バスであった。
昨年(2022年)春にも、バンコク国際モーターショー取材のため、バンコク及び近郊を訪れ、その際にバンコク市内のクルマの様子を定点観測している。しかし、その時はこのようなBEV路線バスを見かけることはできなかった。
調べてみると、2022年中に1250台のBEV路線バスが導入されており、BEVバスの製造なども行うタイの企業「エナジー・アブソリュート」傘下で、BEV路線バスを運行する「タイ・スマイル・バス」は報道によると、3年以内にバンコク市内のすべてのバスを電動化させ、通勤ラッシュ時などでは最大8000台のBEV路線バスを運行する予定とのことであった。
まずは日本では考えられないそのスピード感ある普及に驚かされた。バンコク市内を走る路線バスには大きく分けて、エアコン付きとエアコンなしの路線バスが運行されているが、既に市内中心部ではエアコン付き路線バスのほとんどがBEV化されていた。しかも、調べた限りでは一部中国メーカーの車両はあるものの、そのほとんどはタイメーカー製のBEV路線バス車両なのである。タイ政府は中国政府と非常に親密な関係にあるのはすでに知られている話。
しかし、それでも中国メーカー製車両に頼ることなく、どこまで国産化しているかは別としても、自国メーカー製車両の導入で今後は普及を進めていこうとするその姿は、タイ政府でも「経済安全保障」を意識しているのかなと感じている。タイのように自国メーカー製車両でのBEV路線バスの普及という傾向は、ほかの国々でも目立っている。
■日本のメーカーは出遅れている
日本ではすでに自国バスメーカーがあるものの、いずれもBEVバス車両の開発には大きく出遅れている様子。実際、車両開発できたとしても、その導入コストは中国製車両の数倍になるともいわれている。そして、そのような状況下でも、首都圏の大手系バス事業者でも中国製BEV路線バス車両導入のニュースが相次いでいる。日本がこのまま中国メーカー依存でBEV路線バス普及が進んでいくのは、まるで日本の自動車産業の衰退を露呈するようにも見えてしまう。
昨年、インドネシアの首都ジャカルタを訪れると、中国・比亜迪(BYD)汽車のBEV路線バスが走り出していた。今後インドネシアではBYDからシャシー提供を受け、インドネシア国内でボディ架装を行っていくとのことであった。
バンコク市内ではさまざまなバスが運行されている。そのなかで『赤バス』との愛称でエアコンなしの路線バスが運行されている。話を聞くと、タイの王様が「国民誰もが手軽に移動できる手段を確保できるように」としたのが運行のはじまりとされている。そしていまでも一律8バーツ(約30円)で運行されている。低運賃で運行されていることもあるのか、使われるバス車両は、古い日本メーカー製のフロントエンジンシャシー(つまりトラックシャシー)にバスボディを架装した車両となっている。もちろん単純に対比することはできないが、最新のタイメーカー製BEV路線バスと、古い日本メーカーシャシーベースの赤バスが並んで市内を走るシーンをよく見かけたが複雑な気持ちになってしまった。
WEB CARTOP 2023年5月8日 13:00
https://www.webcartop.jp/2023/05/1106406/
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Source: 車ちゃんねる
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