https://www.dailyshincho.jp/article/2023/04170558/
(前略)
■日本における最強の特権とは
これまでわれわれの取材班が独自に報じてきた「外交官ナンバー問題」では、日本に集うさまざまな国の大使館を取材することとなったが、特に目立ったのが、「外-79○○」というナンバーで識別できるロシア大使館に関係する車両の“無法ぶり”である。
その仔細に触れる前に、なぜ日本で「外交官ナンバー」を付けた車が我が物顔で街を闊歩しているのか。その力の源泉について触れておきたい。
この世の中にはいい悪いは別としてさまざまな「特権」が存在する。いわゆる「ガーシー議員問題」で注目された「国会議員の不逮捕特権」もその一つだが、我が国において“最強”といえるのは「外交特権」だろう。
国会議員は「会期外」「許諾請求」などで逮捕されてしまうが、日本に駐在する外国の外交官はウィーン条約により原則、逮捕されないし、刑事だけでなく民事でも裁判にかけられることはない。
日本国内にありながら、警察をはじめとする司法当局は外国の大使館などに立ち入ることはできないし、外交機密として国外から何でもノーチェックで持ち込める。鉄壁の不可侵権と治外法権で守られているのだ。
2015年に公開された映画「HERO」では、大使館付近の路上で女性がはねられ死亡する交通事故が発生し、木村拓哉扮する検事が捜査を進めるも外交特権の壁に阻まれ暗礁に乗り上げた。
「外交特権」と聞くと映画やドラマの世界の話かと思うかもしれないが、冒頭で紹介したように、都会の公道など身近な場所で行使されているのが実情である。
さらには特権を「悪用」する国があるのだから看過できない問題なのだ。
むろん前述したように、外交官ナンバーの車であろうと駐車違反が見逃されることはない。違反のステッカーはしっかり貼られる。しかし外交特権で差が出るのはその先だ。
私たちが駐車違反をして「放置違反金」を支払わないとどうなるのか。テレビの警察密着番組でもおなじみだが、「逃げ得は許さない」として、警察官が車のナンバーの登録先となっている自宅などにやって来る。それでも応じない車の使用者は、預貯金などを差し押さえられたり、車検拒否になったりする。
■1年間で6千万円が踏み倒されたという試算
では外交官はどうか。外交特権により違反金を支払わなくてもおとがめはないし、5年がたてば時効を迎える。つまりは「踏み倒し」が可能なのだ。
外交官は、その国を代表して他国に派遣される、いわば顔である。「特権の悪用なんかしない」と期待したいが、実際はそうではない。その実態は、私たち取材班が当局への情報公開請求で入手した国別の「放置違反金・踏み倒し全リスト」(警察庁まとめ)で明らかとなった。
外交特権を悪用し「放置違反金」を支払わずに時効を迎えた件数(最新の21年度)は、国内に大使館などを置く155カ国のうち85カ国で、計3900件にも上ったのだ。
国内には外交官ナンバーは約2千台しかないので、件数が台数を上回っている。外交官は「踏み倒しまくっている」と言っても過言ではない。
たとえば1件当たりの違反金を1万5千円とすると、1年間で総額約6千万円が踏み倒された計算だ。そしてリストを見ると、とある2カ国が飛び抜けて多いのである。
■ワースト1位は?
不名誉なワースト1位は、あのロシアで1826件。踏み倒し件数全体の47%と、実に約半数を占めたのだ。次いでワースト2位は中国の638件(16%)。3位はエジプトの184件。ロシア・中国の2カ国はリストを入手できた過去4年すべてで、ワーストのワンツーだった。
4位以下では、「旧ソ連諸国」と「中東」の国の多さが目立った。また、G7ではドイツやフランスが目立つ一方、国内最大級の大使館を持つアメリカは25位(14件)と少ない印象だ。イギリスは4年とも「ゼロ」で、まさに“紳士の国”だった(各国ワーストランクは「FNNプライムオンライン」でも公開しているので参照していただきたい)。
外交官ナンバーによる踏み倒しは、なにも世界各国の大使館が集中する都内だけの問題ではない。残念ながら領事館が置かれる地方都市でも起きている。
先に触れた警察庁のリストによると、踏み倒し計3900件のうち東京都内は3540件と最多だが、成田空港を抱える千葉県内が313件と2番目に多く、ほかにも大阪府や北海道(各11件)、新潟県(9件)、神奈川県と愛知県(各7件)、兵庫県と奈良県(各1件)でも確認されている。
※長文の為全文は引用先で
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Source: 車ちゃんねる
違法駐車、飲酒運転が当たり前! 外国大使館の「違反金踏み倒し」ワースト1位はどの国?