手軽に乗れる自転車だが、歩道でスピードを出したり、信号を無視したり、無謀な走行が後を絶たない。深刻な事故を未然に防ぐため、実効性を高めてルール順守を徹底するのはやむを得まい。ただ、反則金が科されるだけに、国民の多くが納得できる運用が求められる。
青切符は、警察官が交通違反を現認した際、違反者に対し反則金の納付を求める制度だ。行政手続きであり、刑事罰は科されない。1967年の道交法改正で導入され、自転車の違反は対象とされなかった。
しかし、昨今、自転車利用で歩行者にけがを負わせるといった事故が増えているのは看過できない。
警察庁によると、自転車の違反摘発件数は昨年、2万4549件と10年前に比べ約3・4倍に増えた。自転車が関係した死亡・重傷事故7107件のうち、約7割で自転車側にも交通違反があったそうだ。
現行は悪質、危険な違反を重点的に刑事罰の対象となる交通切符(赤切符)で取り締まっている。ただ、起訴を見据えた捜査が必要で、警察・違反者双方に負担が大きい上、大半は不起訴となり、罰金など制裁を受ける事例は極めてまれという。
青切符は新たな制裁の形というわけだ。運転免許がなくても利用できる電動キックボードも、先月から適用対象に加えられた。
反則金を科すのは厳し過ぎるとの反発もあろうが、自転車の危険走行には厳しい目が向けられている。自転車産業振興協会の2021年調査で「ルール・マナーを守るべき」は62・2%、「違反は取り締まるべき」は50・2%を占めた。
昨年成立した改正道交法でも「違反金制度」の導入が検討されたが、法案提出前に見送られた。交通ルールの周知が不十分というのが主な理由だった。
自転車には運転免許がなくても乗れる。免許を所持していない人は、交通法規を学ぶ機会が少なく、知らないことが多い。地域や学校などでの交通安全教育の充実が前提となろう。
軽微な違反まで全て対象にするのは行き過ぎであり、どう線引きするのか。運用の公平性と透明性が何より重要だ。
反則金の額はどの程度が適正なのか。子どもも自転車に乗るが、違反したら反則金を科すのか。慎重に検討すべきであろう。
併せて、安全で快適に走れる専用通行帯などの整備を含め、多面的な対策が欠かせない。
警察庁は来年の通常国会への道交法改正案提出を目指し、今月中に有識者検討会を立ち上げる。自転車を「凶器」にしないために、歩行者や自動車とも共存できる新たな制度設計に知恵を絞ってもらいたい。
続きを読む
Source: 車ちゃんねる
警察庁が検討する自転車の危険走行への青切符(反則金)は必要か?