宅配業界において3月4月は、1年の中でも夏の中元や冬の歳暮の時期に次ぐ繁忙期となる。卒業、入学、入退社といった節目によって贈り物の往来が増えるだけでなく、それらに伴う引越しで荷物の移動が生じるからだ。
この時期に引っ越す人で多いのが、「単身者」。彼らの場合、一家総出の引越しと比べると荷量も少ないため、引越し業者ではなく、段ボール数箱の配送を宅配業者に依頼するケースも多い。
今春はそこに、新型コロナウィルスの影響が被さる。
政府による不要不急の外出自粛要請や、小中高校の一斉休校要請があって以降、いわゆるネット通販(EC)による「巣ごもり消費」が拡大。日用品はもちろん、コメや水といった備蓄品、留守番中の子どもが手軽に食べられる冷凍食品やレトルト食品、自宅用のダンベルやヨガマットといったフィットネス用品などの需要が伸びている。
さらに、外出できないストレスを「指一本」で晴らすべく衝動買いする消費者も少なくなく、現在ECサイトは消費者の「オアシス的存在」と化しているのだ。
こうして、混とんとする時世でも我々が「荷物の移動」や「指先でのショッピング」などを日々滞りなく行えるのには、ある存在の活躍がある。
それらを運ぶ「トラックドライバー」たちだ。
現在、国内の貨物輸送の9割以上を担うトラック。つまるところ、今我々の目の前に存在するほとんどのモノが、少なくとも1度はトラックに載ってそこにやってきていることになる。
品薄の中ようやく手に入れたトイレットペーパー、机に置かれたコーヒーカップ、この記事を読むために握りしめているそのスマホさえも。
外出自粛が叫ばれる中、「全く平常通り営業してますけど?」と、筆者の質問に眉1つ動かすことなく即答するドライバーたち。彼らが止まれば、我々の生活も必然と止まってしまうのだ。
その一方、メディアでも時折紹介されるように、運送業界は深刻なドライバー不足の只中にある。
現在、日本にいるトラックドライバーの数は約83万人。が、ある調査会社によると、2027年までに国内には96万人が必要とされており、同業界も人材確保に日々尽力するが、少子高齢化や過酷な労働環境などからなかなか思うように解消できていない。
そんな彼らの状況を知ってか知らずか、自分の玄関を「どこでもドア」だと思っている消費者が非常に多く、その考えが彼らの労働環境をより悪化させている実態がある。
車体の大きさから存在自体を邪魔扱いされ、「知らない人と対面したくない」と居留守を使われる日々。再配達で投函される数枚目の不在通知をどんな思いで書いているか意識されることさえなく。
筆者はワケあって、大型免許を持っている。繁忙期には1,000kmを走る中長距離トラックドライバーだった。運送に属していたわけではなかったが、サービスエリアで知り合った先輩ドライバーの話や、渡米先での「配達ごっこ」で、「日本の物流の奇跡」を思い知った。
こうした経験や彼らの声をもとにして書いた自著『トラックドライバーにも言わせて』(新潮新書)では、そんな彼らの実態を詳説している(以下、<>内は同書の引用)。
■道路交通法の改正で
<国土交通省が発表した「平成30年度宅配便取扱実績について」によると、同年の宅配便取扱個数は43億701万個。そのうちトラック運送は約98・9%にあたる42億6061万個で、日本の経済はトラックによる物流が支えていると言って間違いない。
そんなトラックの配達員1人が担当する荷物の個数は、ネットショッピングが普及した現在、多い時で1日200個を超える。さらに日本には中元や歳暮など、他の国にはない「贈り物」に対する習慣が多く、1年の間に幾度となくピークがやってくる。
トラックドライバーの過酷な労働環境を世間が少しばかりでも意識し始めたのは、2016年。年末のある事件がきっかけだった。
某大手宅配業者が、荷物やカートを地面に叩きつけている映像は、瞬く間に全国へと広がり、同社とドライバーは強いバッシングを受けた。
以下ソース先で
4/12(日) 10:01 現代ビジネス
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200412-00071553-gendaibiz-soci&p=1
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Source: 車速報
コロナ自粛でも休めない…トラックドライバー「過酷労働」の危ない実態