
93・1%の54件はドライブレコーダー(ドラレコ)の映像が捜査に生かされていた。立件の難しさが背景にあるとみられ、
識者は「摘発できたのは氷山の一角に過ぎないのでは」と指摘する。
「あおり運転は実態としてはもっと多いように感じている」。交通政策に詳しい志堂寺和則・九州大大学院教授(交通心理学)は、
妨害運転容疑で警察が摘発した件数の印象をそう話した。9割にドラレコ映像があったことについて、「かなり役立っていることがうかがわれるが、
映像がなければ立件しにくいのかもしれない」と指摘した。
妨害運転罪を適用するには、他の車の通行を妨害する目的だったことを捜査当局が立証する必要がある。
警察は改正法施行前、ドラレコ映像以外にも防犯カメラの映像、現場のタイヤ痕、車の損傷の具合、目撃者らの話など
さまざまな証拠に基づいて立件すると説明してきた。
しかし、車の前に急に割り込んでいたとしても、先を急ぐためだけなら妨害運転罪での処罰の対象にはならないなど、
実際の捜査では詰めなければいけない点は多い。双方の言い分が食い違うケースでは、映像などによって具体的に車の動きが分からなければ
立件に結びつけにくいのが実情だという。
山口直範・大阪国際大教授(交通心理学)は「ドライバーの意思を証明できるという点でドラレコの映像が大きなカギになっている」としたうえで、
「警察が捜査の経験を積み重ねれば、摘発は増えていくのではないか」とみている。ドラレコの普及による別の効果にも注目しており、
「ドラレコは周りを映すだけではなく、自分自身の運転も映り、律する気持ちになる」と交通ルールを守る意識が広がることを期待する。【町田徳丈】
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Source: 車速報
あおり運転、半年間で58件摘発 9割は「ドラレコ映像」が決定的証拠に