「サポカー限定免許」を創設
法案が通常国会で成立すれば、高齢者への実車試験は2022年にも導入され、あおり運転の厳罰化は今年夏前にも始まる。
警察庁は重大事故が相次ぐ高齢ドライバー対策として、実車試験の導入方針を明らかにしていた。対象年齢の区切りを「80歳以上」とすることも検討したが、認知機能検査の対象年齢に合わせて「75歳以上」とした。年代別の事故率も考慮した。
法案は、一定の違反歴がある75歳以上のドライバーに免許更新時の実車試験を義務づける。違反歴は、大幅な速度超過や信号無視などを想定する。試験で技能が不十分とされれば更新できないが、免許更新期間の満了日前6カ月以内なら繰り返し受けられるようにする。
法改正に伴い、70歳以上に行っている高齢者講習の実車指導でも運転技能を評価し、結果を本人に通知する制度を始める。免許取り消しにはつながらないが、技能を自覚してもらう狙いがある。
自動ブレーキなどが付いた安全運転サポート車(サポカー)に限って運転できる「サポカー限定免許」も新たに創設される。サポカーの定義は今後定める。
「著しい危険」で「5年以下の懲役、100万円以下の罰金」
一方、これまで法律に位置づけていなかったあおり運転は、「他の車の通行を妨害する目的で、交通の危険を生じさせる恐れのある行為」と規定した。前方の車への著しい接近や、急な進路変更などを執拗(しつよう)に繰り返し行った場合が対象となる。
罰則は、あおり運転を巡る事件に適用している刑法の暴行罪(2年以下の懲役など)や威力業務妨害罪(3年以下の懲役など)とのバランスを図った。高速道路で他の車を停車させるなど「著しい交通の危険」を生じさせた場合は、さらに重い「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」とした。
行政処分も見直し、あおり運転として摘発されると、即免許取り消しとする。免許を再取得できない欠格期間は2~3年程度となる見通し。
法案には、バスやタクシーの運転に必要な2種免許の受験資格の緩和も盛り込まれた。新たな教習カリキュラムの修了を条件に、年齢要件を「21歳以上」から「19歳以上」に、経験年数要件を普通免許保有「3年以上」から「1年以上」に改める。ドライバー不足の解消が目的で、22年の施行を目指す。
道交法改正案の主なポイント
<高齢ドライバー対策>
・一定の違反歴がある75歳以上を対象に免許更新時の実車試験を義務づけ→基準に満たなければ免許失効
・運転できる車を安全運転サポート車に限定した「サポカー限定免許」を創設
<あおり運転対策>
・道交法にあおり運転の規定を新設
・罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金など
・違反1回で免許即取り消し
あおり運転となる主な違反行為
・不必要な急ブレーキ
・前方の車に著しく接近
・急な進路変更
・左側からの追い越し
・執拗なクラクション、パッシング
・幅寄せや蛇行運転
・高速道路での最低速度違反、駐停車違反など
毎日新聞2020年3月3日 09時12分(最終更新 3月3日 10時26分)
https://mainichi.jp/articles/20200303/k00/00m/040/019000c
続きを読む
Source: 車速報
【道交法改正案】違反歴ある75歳以上に実車試験 「サポカー限定免許」も新たに創設